サーフィン歴26年、3,500本以上のカスタムボードを届けてきた中で、ずっと気になっていたことがあります。
女性がツインフィンに乗ると、ボテッとする。
標準サイズのツインフィンは、多くの場合、男性の体重と脚力を前提に設計されています。女性がそのまま選ぶと、浮力が過剰になり、本来のツインフィンの良さを引き出せないことがあります。
この記事では、女性がツインフィンを選ぶときに知っておきたいサイズと浮力の考え方を、できるだけ分かりやすくお伝えします。
標準サイズのツインフィン、女性には何が起きるか
一般的なフィッシュツインの標準サイズを見てみます。
- 5’10” → 35L前後
- 6’0″ → 37〜38L前後
- 6’2″ → 40L前後
幅は21インチ半以上、厚みもしっかりあるものが多い。これは体重70〜80kgの男性が乗ることを想定したボリュームです。
では、体重45〜60kgの女性がこのボードに乗るとどうなるか。
浮力が強すぎて、レールが入らない。
レールを水面に沈めようとしても、浮力が勝ってしまいます。ボードが傾かないので、弧を描くようなターンができない。波のフェイスを走るのではなく、波の上に「浮いているだけ」の状態になりやすい。
さらに、幅が広すぎると手が回りにくく、パドル時の取り回しにもストレスが出ます。
「短くすればいい」わけでもない
浮力を下げるために短いサイズを選ぶ、という考え方もあります。たとえば6’0″ではなく5’4″や5’6″を選ぶ、というアプローチです。
たしかに浮力は下がりますが、短くなることでパドルの安定性やテイクオフの速さが犠牲になります。とくに週末サーファーや、これからツインフィンに挑戦したいという方にとっては、短い板は不安定さが先に立ちやすい。
「長さが欲しいけど、浮力は要らない」——これが、多くの女性ツインフィンユーザーが直面するジレンマです。
女性がツインフィンを選ぶときに見るべきポイント
大切なのは、長さ・幅・厚み・浮力のバランスを、女性の体格に合わせて考えることです。
1. 浮力(リッター数)
体重に対して過剰な浮力は、操作性を大きく損ないます。標準サイズの6’0″で37〜38Lのツインフィンは、50kg台の女性にとっては明らかにオーバーボリュームです。
同じ長さでも、30L台前半くらいまで抑えたボードであれば、体重と浮力のバランスが取れ、レールが入る余地が生まれます。
2. 幅
幅が広すぎると、レールを傾けるのに余計な脚力が必要になります。女性の場合、20〜20.5インチ程度に抑えたほうが、傾けやすく、レールワークがスムーズになります。
また、幅が控えめなボードは手が回りやすく、持ち運びのストレスも軽減されます。
3. レールの厚み
見落とされがちですが、レールの厚みは操作性に直結します。レールが厚いと沈め込むのに力が必要になるため、女性の脚力では十分にレールを入れられないことがあります。
薄めのレールに仕上げたボードであれば、少ない力でもレールが水面に入り、ターンの感覚をつかみやすくなります。
4. 長さ
長さはパドルの安定性とテイクオフの速さに直結します。浮力を下げたいからといって短くしすぎると、今度はテイクオフが不安定になります。
理想的なのは、必要な長さは確保しつつ、幅と厚みと浮力で調整するという考え方です。
「レールが入る」とはどういう感覚か
ツインフィンでレールが入ると、テイクオフの瞬間から波のフェイスを走ることができます。
波の下にストンと落ちるのではなく、テイクオフした瞬間からフェイスの上を滑り出す。ボードを傾ければ素直にレールが反応し、体重と脚力に見合った反発が返ってくる。その反発を使って、フェイスを走りながらターンにつなげていくことができます。
これは、適正なボリュームのボードに乗って初めて体感できる感覚です。浮力が過剰なボードでは、この「レールが入る」という状態そのものが起きにくくなります。
ツインフィンはまだ発展途上
ケリー・スレーターはかつて、ツインフィンについてこう語っています。シングルフィンの歴史は長い、トライフィンの歴史も長い、でもツインフィンの時代だけが不思議なほど短かった、と。
つまり、ツインフィンにはまだまだ進化の余地がある。その進化のひとつが、「乗る人の体格に合わせた設計」ではないかと考えています。
男性も女性も同じサイズチャートから選ぶ時代から、体格や脚力に合わせて最適化されたツインフィンを選べる時代へ。それはツインフィンの可能性を広げることでもあると思っています。
HANNAH FIRMの取り組み
当店では、女性の体格に最適化したツインフィン「A2 LADIES」を企画・製作しました。
HFBのA2モデルをベースに、女性の体重・脚力に合わせて幅・厚み・浮力を再設計したレディース専用モデルです。詳しくはオンラインストアの商品ページをご覧ください。
サイズ選びに迷われた方は、お気軽にご相談ください。体重やサーフィン歴を伺った上で、最適なサイズをご提案します。

この記事へのトラックバックはありません。